本記事は登壇者 Advent Calendar 2017の2日目の記事です。昨日は榊原昌彦さんの「【登壇はいいぞ】はじめての登壇から出版までを振り返る」でした。
さぁさぁ、何を血迷ったのか今年はLT1本しかやってないのに登壇者 Advent Calendar 2017に申し込んでしまいましたので、ライトニングトーク(LT)を盛り上げるための骨を紹介します。
僕にとってのLTのイメージ
盛り上がるLT、聞いてよかったLTというとどんなイメージをお持ちでしょうか?僕は「新しい知識をくれるLT」「話し方が上手いLT」「ライブコーディングorデモを入れたLT」「なんかよく分からないけど盛り上がったLT」の4パターンを思い浮かべます。前3つは、知識や経験に裏付けされたプレゼンテーションなので、難易度が高くとても真似できません。
特別優れた技術を持っているわけでもなく、卓越した話術を持っているわけでもないのにできる「なんかよく分からないけど盛り上がったLT」を目指して今までやってきましたので、本記事ではそのやり方の言語化に挑戦していきます。
あわよくば人前で話す自信なんて無いよ、、、という方がこの記事を読んでLTできるようになってくれると嬉しいです。
なんかよく分からないけど盛り上がったLT
じゃあそれってどんなものなの?というのを共有するために、手前味噌ですが過去結構ウケたなぁという自負のあるLTのスライドを紹介します。
これは懇親会LTだったのですが、参加者の共感を得られてそこそこ盛り上がりました。
これも酒飲みながらのLT大会だったのですが、参加者からヤジが飛んでくるくらいには盛り上がりました。
[slideshare id=81261445&doc=scratch-171027000740]
どちらのスライドを見てもほとんど内容が無いですよね。なので、スライドだけ見ると何が盛り上がったのかちっともわかりません。「頭良さそうにTED風プレゼンをする方法」の様にライブで見て初めて面白さが伝わります。
中身が薄いのに盛り上がるように話すコツはたくさんあるのですが、誰でも出来るように3つに絞ってコツを紹介します。
LTを盛り上げるコツ「おはし」
- お 大きな声で話す
- は 拍手を要求する
- し 質問を投げる
「大きな声で話す」「拍手を要求する」「質問を投げる」の頭文字を取っておはしです。
ふざけんな、そんな簡単なことかよ。と思うかもしれませんが意外とできていない人が多いです。無論、内容が素晴らしければこんなテクニックを使わなくても良いのですが、使った方がより盛り上がりますので、ぜひ取り入れてください。では、それぞれのコツを具体例を交えて説明します。
大きな声で話す
「大きな声で話せば、少なくとも内容が聞こえなかったという不満はなくなる」とは@hazakumiさんからのアドバイスで、未だに忠実に実施しています。
声が小さいと内容を聞き取るために観客は息をひそめて聞くようになります。すると笑いが起こりにくく、会場がどんどん冷え込んでしまい盛り上がらないLTになってしまいます。
目安としてはマイク無しで話して観客に聞こえるくらいのボリュームでマイクありで話します。それが観客が笑ったり野次を飛ばしてきても、かき消されないくらいの声のボリュームです。
LT芸人で有名な@shimy_netさんも@megane9988さんも、それくらいのボリュームで話してますね。
一番カンタンで効果のあるテクニックなのでぜひ使ってください。
(例外的に観客の笑いや野次のタイミングに合わせてトークを止めたり再開したり出来るすごい人もいますが、初心者には難しいです。)
拍手を要求する
観客は拍手をすると参加してる感が出てLTを楽しく感じるようになります。(自分調べ)
笑い声を出したり、野次を飛ばしたり、ツッコミを入れるよりも、拍手をする方が観客にとっては心理的ハードルが低いので、積極的に拍手をもらえるようにしましょう。
ところで、拍手は勝手に起きると思ってませんか?違いますよ!「ここで拍手して良いんだよ」というタイミングを与えることで拍手は起こります。
具体的には3つのタイミングがあります。
- 最初の「よろしくお願いします」
- 何かめでたい事を発表したとき
- 最後の「ご清聴ありがとうございました」
特に重要なのが最初ですね。「よろしくお願いします」と言ったあとすぐに話し始めてしまう人がいて勿体無いなといつも思っています。実はパラパラ拍手が起き始めているのに、登壇者が話し始めてしまうので、観客は「あ、拍手しちゃだめだったんだ」と思ってやめてしまいます。
ちょっと我慢して拍手が大きくなるのを待ちましょう。拍手が起きたら「ありがとうございます」と応えてあげると、観客とのコミュニケーションが成立した状態でプレゼンに入れます。
“何かめでたい事を発表したとき”は簡単ですね。ビジュアルプログラミング言語Scratchで遊ぼうのスライドの中だとここです。
執筆なら誰がどう見てもめでたいじゃないですか。拍手もらえますよ。
他には「達成しました」「完成しました」「メディアに取り上げてもらいました」「ダイエットに成功しました」「今日誕生日です」なんかも目出度いので、LTの前半の方、自己紹介の後くらいに入れておきましょう。
もちろん、拍手が起きたら少し話すのをやめて待ちましょう。
さぁ、これで2回は拍手が起きたのでだいぶ観客が温まってきましたよ。
万が一拍手が起きないとき
強制技ですが、自分で手を叩きながら「ィエイッ」とか言うと結構つられて拍手してくれます。使うことが無いことをいつも願っています。
質問を投げる
「お」と「は」に比べるとちょっとレベルが上がります。
観客に質問することで、頭のなかで考えてもらったり、手を上げてもらったり、答えを言葉で言ったりしてもらえる様になり、より参加してる感が出てきます。
観客の心理的ハードルの低い順に
- 頭のなかで考えてもう
- 手を上げてもらう
- 答えを言葉で言ってもらう
となります。
頭のなかで考えてもうというのは例えば、「AとBどっちが正解でしょうか?ちょっと考えてください。いいですか?それでは正解がこちら」という感じで観客のリアクション無しで進めていきます。拍手が全く起きないなど観客が消極的なときは、この方法がオススメです。
手を上げてもらうは簡単ですね。マイクを持っていない方の手を上げながら「Aが正解だと思う人?はい、じゃあ、Bが正解だと思う人?」というだけです。体を大きく動かすので拍手よりも参加度が上がります。
手を挙げさせた場合は必ず、挙げた結果についてコメントしてください。例えば「殆どの人がAですね〜」「お、ちょうど半々くらいですね」「え!Aは一人だけですか!」とかです。ちゃんとコメントしないと観客にとっては、手の挙げ損になってしまいます。
では具体例。
僕はいつもやってるんですが、所属してる会社の知名度チェックです。マイクを左手に持ち右手を上げながら「クックビズって名前知ってる人いますか?」と聞くと何人か手を挙げてくれます。人数が多ければ「こんなに!ありがとうございます。有名になって嬉しいです」と、人数が少なければ「だいたい1割位ですね。今日は名前だけでも覚えてください」と、一人なら「いやー嬉しい!後でお話しましょう」とかそんな感じで返しています。
ちなみに挙手させるのは意外と時間がかかるので、LTの中で使えるのは1〜2回が限界です。正直2回やるとちょっと観客がダレます。
答えを言葉で言ってもらう、これは観客が相当温まってないと難しいですね〜。頭のなかで考えてもう質問をした時に勝手に答えてくれる客がいるケースが多いです。懇親会LTだといい感じに酔っ払ってる人がいるので、答えてくれる率は高くなります。
上手く行った例として2000年頃のフロントエンド技術から。
文脈としては2000年頃にヘッダー付きの2カラムレイアウトのWebサイトを作ろうとしたらどのように実装したかを紹介するシーンでした。ちなみに正解はFramesetを使うというものだったのですが、その時のコミュニケーションがこんな感じです。
僕「さぁて、当時の技術でこのレイアウトを実装しますが分かる人いますかね〜(答えは期待してない)」
客「はい!フレーム?」
僕「えー!知ってる人いた〜!正解です!」
文字に起こすとバカっぽいですね(笑)ただ、観客とのコミュニケーションが取れているので満足度は高くなります。
まとめ
どうでしょうか?「なんかよく分からないけど盛り上がったLT」を解剖した結果「お・は・し」に行き着きましたが、参考になりましたか。
- お 大きな声で話す
- は 拍手を要求する
- し 質問を投げる
改めて解説すると、井戸端会議を大勢相手にやるノウハウみたいで下らなくて良いなと自己評価。
プレゼン苦手な人も「お・は・し」の3つを押さえるだけで結構うまくいきますので、ぜひどこかのLTにチャレンジしてみてください。
もう一つアドバイス。懇親会LTの方が勉強会本編でやるLTよりも観客がリラックスしていて盛り上がりやすいという特徴があります。
最後に。
免責事項
このノウハウを完璧に実行したのに盛り上がらなかったという苦情は一切受け付けません。
「おはし」という語呂合わせは今日思いつきました。
でも貴方のLTが上手く行くことを祈っています。Enjoy Lightning Talk!!
余談
12月1日付けで転職しました。
新しい会社ではIoTのビジネス開発を主戦場に闘っていきますのでよろしくお願いします。